学びと訓練。

先日、某中小企業の方と雑談をしていてのこと。

その方は、今の仕事が好きで続けたいと思っている。しかし、現場の雰囲気が悪く、人の入れ替わりが激しいとおっしゃる。彼としては、できることならいい職場にして、いい仲間と長くこの仕事を続けたいと思っている、とのことでした。

これって、日本の多くの企業で、その仕事を続けたいと思っている人が最も多く抱えている悩みかもしれないと思いました。

彼の状況を聞いてみると、現場の人間同士はそこそこコミュニケーションがとれているものの、それは一部だけで嫌っている人同士が存在し、会社側はそれを知らない。また、現場のスタッフをマネジメントするチーフや主任という立場の人は、普段一人で黙々とやるポジションをやってきた人ばかりなため、そもそもマネジメントの能力がないという。

強い言い方をすると、普段の挨拶すらできない人が上のポジションにいる。

もちろん全員がそうということではなく、彼の知るところでは一人だけ、上の立場だがいつでも向こうから挨拶や声がけをする人はいるそうです。

自分の経験から学んだことですが、挨拶や声がけ、謝罪などはすべて、その言葉に力が発揮されるのは“立場が上の人が使うからだと思っています。ワタクシとしては挨拶はできて当たり前のこと。上のポジションについた途端にしなくなれば、間違いなく誰も慕わないどころか嫌われるでしょう。

f:id:nagoya7110jp:20200203141731j:plain

新しくスタッフが入っても、上のポジションの人が挨拶すらできず、スタッフから挨拶してもスルーだと、それで会社を判断されて、本音を言わずにスタッフが辞めていく。これを繰り返せば、下手をすれば辞めたスタッフがその会社の評判を口にする。会社側はそんな風に世間に思われていることを知ることがないわけですから、良くなるはずもなし。

非常に残念な状況ってヤツですね。

これを打開するには会社の規模や関わる人数にもよりますが、大変な努力が必要です。ワタクシならまず、現状の把握とキーマンになる人の教育や意識改革から始めると思います。

「敵が増えるやり方と味方が増えるやり方と、どっちがいいですか?」とキーマンすべてに投げかけたうえで、現状の状況がどうなのかを話し合います。

また、これは昭和の時代からずっと大きな赤字にならずにやれてこれた会社に多くみられますが「今までそのやり方で問題なかった」という意思が強く見られます。時代は平成、そして令和へと変わっているのに、です。ワタクシも以前に「ついに平成生まれが社会に出てきたか!」と驚いたことを記憶していますが、いずれ平成生まれの人も令和生まれの人が社会に出てきたら同じように思うでしょうね。

今回のお話を聞いた会社は、明らかに役職がゴールになっています。そうではなくて、役職はポジションですから、新しい自分の役割を果たすのに必要なことを学び、訓練もしていかねばなりません。なんせ、経験ないわけですから。

野球を例にすれば、ずっとキャッチャーやってきた選手に「明日からピッチャーやれ」とただ命じているだけと同じ。キャッチャーとピッチャーの役割の違いや、学ぶことや練習方法に違いがあることは誰でもわかるのに、会社ではポジションを与えればできると言わんばかり。ひどい場合は、ストライクをとれるどころか、キャッチャーまでボールを届かせられない人にピッチャーをやらせているくらいのケースも聞いたことがあります。

現場でプレイヤーでやってきた人が次のキャリアでチームをまとめるポジションにつくことはいいことだと思います。現場を知っているわけですから。ただ、それだけでは厳しい。チームをまとめるための学びも訓練もしていかなければ、上達はかなり厳しいのです。できることなら会社にこういったことの必要性を知ってもらい、予算や時間を割いて当事者に学びや訓練の機会を作ってあげたいと思いました。