ハードルを下げる?

自己啓発がもてはやされる世の中ではむしろ、「ハードルを上げる」ことがいいとされています。

しかし、新人向けの研修に関してだけは「ハードルを下げる必要がある」と強く感じます。

実際にあったお話ですが、某運送系の会社でスタッフが休憩中にしていた話題が「チェーン」のこと。雪道でタイヤに取り付けるチェーンです。ワタクシが住む愛知県は年に数日しか積雪しない土地です。すでに辞めてしまった新人スタッフに、積雪だからチェーンを巻くようにと指示したことろ、乗る車がFF(前にエンジンが載っていて、前の2輪が路面に力を伝える)だったにも関わらず、後ろにチェーンをつけていたと、笑い話にしていたんです。

ワタクシ、これを聞いて驚きました。

その運送会社の実情は、派遣に頼らざるを得ない人事状況。せめて10年前なら、運送系は比較的自動車好きが集まるのは理解できますが、派遣会社を通じてくる人たちは完全にお金目当て。当然、クルマの知識も乏しいわけです。

知識がない本人にしてみれば、もしも誰にも気づかれずに走り出していれば大事故になるところでした。

仕事だからこそ、ちゃんとやることが大切。しかし、この例の場合は「チェーンをつけるように指示する」がちゃんとの線引きになっているんですね。笑い話にしていることが何よりの証拠です。

この会社では、通常の新人研修では安全運転についての講習がメイン。「この場合はこうする」というケーススタディは見て覚える状態でした。

ワタクシの考えでは、新人研修の内容を安全運転の講習に加えて整備する必要があると思いました。さらに、見て覚えている状況の具体的な作業内容も、共通ルールを整理して一通り学べる状態にすることで、クルマの知識に乏しい人でも仕事を続けやすくなり、結果として人手不足も解消すると思います。研修内容を作りこむ際の、最も重要なポイントは「クルマの知識がない人でもできるようにする」ことです。

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